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イントロダクション

日本初!地球・文明・エネルギーのドキュメンタリー映画

イギリスの科学者ジェームズ・ラブロックは、地球を一つの生命システムとしてとらえる視点をもとに、地球環境を総合的に考える「ガイア理論」を提唱した。2015年のCOP21「パリ協定」採択から50年前のことである。
そのガイアが今、人為的な原因による温暖化に蝕まれている。20世紀の100年間で人類が手に入れた「文明による快適な生活」は、温暖化をはじめとする深刻な環境問題を生み、今や地球上で最大規模の脅威となっている。その一方で、世界には未だに「豊かさ」の恩恵に浴していない人々も多数存在していて、どのようにすれば地球環境を守りつつ人類の「より良き生活」を追求できるのか、我々が負うべき喫緊の課題となっている。
生命の源を生むにも育てるにもエネルギーが必要で、しかも高いクリーン度を絶対条件とする。これを現代生活で可能にするとなれば、電気エネルギーが不可欠なのは自明だ。そして今後も人口の増加、経済活動の広がりによって、世界的な電力需要は伸び続けることになる。この必然性と環境制約をどう調和していくか。「持続可能な地球社会の創造」にあたっては、安定供給力のある原子力を含めた現実的な“エネルギーミックス”に真剣に取り組まねばならないだろう。
本映画では、ラブロック博士の現地独占取材の他、イギリス・アメリカ・ドイツ・日本と1年間に及ぶ長期ロケを敢行。ガイア理論を検証しつつ、予断やイデオロギーに囚われることなく、これから私たちが選択すべき最適解への道を探る。

プロダクションノート

総移動距離80,326km 地球約2周分!

まず、映画の軸になる話を聞こうと、ラブロック氏にコンタクトをとり、6月末にイギリスに向かった。そして、イギリス南西部のドーセット州の海岸沿いにあるラブロック氏の自宅を訪ねた。ラブロック氏は1919年生まれだ。今年で97歳になる。体調がすぐれないということはないだろうかと、正直、心配していたのだが、にこやかに迎えてくれたラブロック氏の年齢を感じさせない元気な姿にまず驚いた。インタビューは長時間に及んだが、疲れも見せずに丁寧に、かつ理路整然と語ってくれた。まさに超一流の科学者である。また外を歩いている姿などを撮影させて欲しいと頼むと、そんな勝手なお願いにも快く答えてくれた。家の後ろに小高い丘があるのだが、なんと毎日その丘の上まで散歩しているのだそうだ。その矍鑠とした姿に改めて驚かされた。二日間にわたる取材を終えるころには、私はもうすっかりラブロック信者になっていた。

続いて、海外の有識者たちの取材を行った。イギリスの他、米国の東部と西部、そしてドイツでの撮影となったが、候補となっている取材対象者は多忙な方が多く、スケジュールの調整は簡単ではない。一度の海外ロケですべての取材を終えるのが一番効率がいいわけだが、それがなかなか難しく、三回に分けてロケを組むことになった。結局、海外取材にほぼ三か月を費やし、予定した取材を終えたのは9月後半だった。海外ロケとその後の日本ロケでの総移動距離を計算してみたら、8万kmを超えていた。なんと地球約2周分の距離である。

その後は日本での取材ロケを行った。有識者へのインタビュー取材や福島第一原子力発電所の取材、さらにイメージ映像撮影などに取り組んだが、結局すべての撮影を終えたのは年をまたいでからだった。その間、原子力エネルギー利用に反対する意見や再生可能エネルギー100%を主張する意見なども紹介したいと考え、そうした主張を発信している有識者にコンタクトを試みたが、インタビューが実現した後に断られた人も含めて、すべて拒否された。残念である。

それからは編集作業が始まった。何せ、手元にあるのは膨大な量のインタビュー映像である。様々な情景映像もある。それらを取捨選択し、一本の映画に仕立て上げなければならない。撮影した映像には愛着があるものである。それをバッサリと切り落としていかないといけない。編集室に泊まり込み、悪戦苦闘する日々が続いた。そうしてこの映画は完成した。
折しも、昨年12月にフランスでCOP21が開催され、地球温暖化対策としてすべての国が参加する枠組みを定めた『パリ協定』が採択された。これから各国がどのようにして具体的な取り組みを進めていくかが問われている。温暖化を食い止めるためには、特に今後のエネルギー利用の在り方が大きな課題となるはずだ。この映画が、そうした問題に一石を投じることになればと願っている。

ラブロック博士は、ガイア論の中でこんなことを言っている。「私たち人間がやっていることが地球に大きな影響を与えることはない。地球は46億年前の誕生以来、巨大な火山噴火や隕石の衝突など想像を絶する危険に耐えてきた。それに比べれば人間がやっていることなど何の影響もない。ただし、私たちがやっていることは、私たち自身や私たちと相互関係にある植物や動物には大きな影響を与える」と。つまり、温暖化自体は地球にとって大したことではないが、私たち人間にとっては深刻な問題だということだ。そして一方で、地球システムは私たち人間を頼りにしているとも言っている。何故なら、私たちには思考力があり、今起きつつある悪影響を是正するのも私たちにしかできないことだからだ。
「ガイアのメッセージ」は、この映画を見る人たちにどう伝わるのだろうか。楽しみである。

監督 太田洋昭

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